挑戦の輪は止まらない【後編】 ~データが語るマンツーマンレッスン2,000人の「はじめの一漕ぎ」~
- Takeshi Matsunaga
- 11 時間前
- 読了時間: 10分
みなさん、こんにちは!お元気ですか?
「挑戦の輪は止まらない【後編】 ~データが語るマンツーマンレッスン2,000人の「はじめの一漕ぎ」~」をお届けいたします。【前編】をご覧になっていない方は、こちらからお願いいたします。前回に続きまして、性別・年齢・参加動機・結果など、多角的な視点から「自転車に乗ること」の意味を、あらためて見つめ直していきます。そしてこの記録が、「まだ乗れない人」への勇気となり、地域や世界とのつながりを広げていくきっかけになることを願っています。ぜひご覧ください!
※記載の内容は、アジア自転車教室での実績と指導員が参加者との会話で感じたこと等に基づいていて、ある意味では「側面的な」内容となっているかもしれません。分析手法もまだまだあるでしょうし、書ききれていないことや、異なる考え方もありますので、そのうえでご覧いただけますと幸いです。
目次:
1.達成スピード
~2,000人に広がった挑戦の輪~
2.参加者プロフィール分析
~多様な背景から見えてきた「乗りたい気持ち」~
3.成果との関係
~「乗れるようになった」その瞬間にある、今の自分~
4.リピートする人々
~「また来たよ」から始まる、つながりと挑戦の物語~
※今回のブログでは目次3と4を先行して紹介しています
3.成果との関係
~「乗れるようになった」その瞬間にある、今の自分~
3-1.性別 ~「乗れた!」の背景にはそれぞれのストーリー~

アジア自転車教室では、これまでに2,000人の方が参加され、そのうち1,666人が「乗れるようになった」という結果が今回出ました。この数字の裏側には、性別による傾向や背景もみることができます。
1)女性の成功率が少しだけ高い結果に
「乗れるようになった」方の割合は、女性の方が男性より若干高い傾向にあります。レッスン時に参加者とお話しして感じていたのは、女性のほうが子ども送迎や買い物など、日常生活の中で自転車が必要とされる場面が多いこと、「家族のために」「自分のために」といった前向きな動機で参加される方が多いこと、です。
2)「乗れない」からの一歩も、性別を問わず応援しています
一方で「乗れるようにならなかった」方も女性236人、男性98人と、一定数いらっしゃいます。「今まで機会がなかった」「怖くて挑戦できなかった」など、理由はさまざま。でも、どんな理由であっても、「今からでも遅くない」という気持ちを大切にしていただいて、一緒に頑張りたいと思っています。
3-2.年齢別 ~何歳でも訪れる「乗れるようになった」瞬間~

10歳未満から70代以上まで、本当に幅広い年齢層の方々が参加されています。年齢ごとの傾向を見てみると、それぞれの世代に異なる「挑戦の物語」があることが見えてきます。年齢を問わず、「乗ってみたい」「できるようになりたい」という気持ちは、誰にとっても大切な「はじめの一歩」なんですね。「行こうかなあ、申し込もうかなあ」と何日も何か月も考えて「よし、行こう!申し込むぞ」とお越しになる方が多いと感じています。その勇気に私たちも寄り添い応えたい、と思っています。どうぞ安心してお越しください。
1) 小さな一歩、大きな成長:10歳未満の子どもたち
「乗れた」60人、「乗れない」20人。この年齢層は、まさに「はじめての一歩」を踏み出す世代。親御さんと一緒に練習したり、放課後や出張教室で挑戦したりと、地域ぐるみで子どもたちの成長を支える姿が浮かびます。
2)10代~20代:学びと自立の中での挑戦
この世代は、通学・通勤や生活の自立をきっかけに自転車に向き合う方が多いようです。20代:412人が「乗れた」85.4%に達しています。「今さら聞けないけど、実は乗れない…、恥ずかしい」と思いがちな世代にもそっと寄り添える教室でありたいと思っています。
3)30代~50代:家族のためにもう一度
この世代では「健康のため」「もう一度挑戦したい」という声も多く聞かれますがやはりダントツの感があったのは「子どもの送迎のため」。30代の方の乗れるようになった方は88.3%に達しました。我が子のことを思う親心の強さを感じます。
4)60代以上:自分のためにもう一度
驚くべきは70代以上:36人が「乗れた」87.8%。この世代の方々の挑戦には、本当に勇気と希望を感じます。「年齢を理由にあきらめない」。そんな背中が、次の世代にも力を与えてくれています。
3-3.参加動機 ~「乗れるようになった」の背景にある「暮らしと気持ち」~

暮らしに根ざしたニーズと、挑戦への気持ちが浮かび上がってきたように感じています。
このデータから見えてくるのは、自転車に乗ることが“暮らしに必要”であり、“自分への挑戦”でもあるということ、でした。
1)通勤・通学・仕事:移動手段としての必要性
- 仕事:247人が「乗れた」、35人が「乗れない」
- 通勤通学:164人が「乗れた」、35人が「乗れない」
- 引越し転勤:17人が「乗れた」、3人が「乗れない」
「新しい環境で必要になった」「毎日の移動を快適にしたい」。そんな現実的な理由からの参加も多く、教室がそのニーズに応えていることがわかります。
2)日常の足としての自転車:買い物・子ども送迎
- 買い物等:686人が「乗れた」、164人が「乗れない」
- 子ども送迎:209人が「乗れた」、27人が「乗れない」
参加動機としては一番多くなっています。日々の生活の中で自転車が必要とされる場面が多く、「どうしても乗れるようになりたい」という強い気持ちが、成果につながっているように感じます。
3)サイクリング・コンプレックス:自分のための挑戦
- サイクリング:190人が「乗れた」、33人が「乗れない」
- コンプレックス(運動不足・苦手意識など):147人が「乗れた」、36人が「乗れない」
「気持ちよく走りたい」「苦手を克服したい」。自分自身への挑戦が多く、乗れるようになった方の笑顔が目に浮かびます。
4)憧れからの一歩:オートバイに乗りたい
- オートバイでツーリング:6人が「乗れた」、1人が「乗れない」
「乗ってみたい」という純粋な憧れからの参加もあります。少数派だったのですが、貴重な意見だったので取り上げました。その気持ちに寄り添える場であることも、教室の大切な役割です。
3-4.過去の練習経験 ~経験があるからこそ、もう一度挑戦したい~

アジア自転車教室に参加された方の中には、過去に練習したことがある方もいれば、まったく初めての方もいます。その結果を見てみると、過去に「練習経験のある方」のほうが乗れるようになったことが多い、ということがわかります。
1)経験あり:もう一度、ちゃんと乗れるようになりたい
- 乗れた:1,065人/乗れない:150人
過去に練習したことがある方でも「乗れるようになった」と感じられていなかったり「ブランクがある」「不安がある」といった理由で参加される方が多くいます。改めて練習を重ねて“自信を持って乗れるようになった”という声をたくさんいただいています。
2)経験なし・不明:はじめての挑戦に寄り添う
- 乗れた:601人/乗れない:184人
「自転車に乗ったことがない」「練習した記憶がない」。そんな方々も、教室でのサポートを通じて「乗れるようになった」という成果をしっかり出しています。もちろん、乗れなかった方もいますが、「また挑戦したい」「次こそは」という前向きな声が多く届いています。
このデータから見えてくるのは、経験の有無よりも“挑戦したい気持ち”が大切だということ。アジア自転車教室は、どんな背景があっても、どんな気持ちでも、その一歩を応援する場所として、これからも地域の皆さんと一緒に歩んでいきます。100分のレッスン後は「楽しかった!」と一緒に叫んでグータッチで終わりましょうね。
3-5.公道・街乗りデビューまで ~2,000人の「できた!」がつながる成長の軌跡とレッスンの広がり~

「乗れた!」その一言の裏には、ひとりひとりの挑戦と、あきらめなかった時間があります。アジア自転車教室では、これまでに2,000人の方とマンツーマンで向き合ってきました。初めてペダルを踏んだ子どもたち、何十年ぶりに再挑戦した大人の方、坂道やカーブが怖くてやめた人。私たちの教室に来られる人は多種多様。結果も多岐にわたります。
- 頑張ったけど100分では「乗れなかった」方:334人
- 何とか乗れるようになった方(自分で「乗れた!」と自覚できた方):249人
- 直線を安定して走れるようになった方(漕ぎ出しもブレーキングもOK):412人
- カーブも曲がれるようになった方(右カーブも左カーブも):284人
- 坂道(のぼりもくだりも)クリアできた方:255人
- 長い距離を走れるようになった方:380人
- 細かい技(S字カーブや杭の間のすり抜け等)をクリアできた方:34人
- 街中での実践的な走行ができた方(指導員と一緒に走ります):52人
それぞれの「やってみたい」「ここまでできたら嬉しい」という気持ちに寄り添いながら、私たちは一緒に進んできました。この数字は、単なる成果ではなく、ひとりひとりの「できた!」の積み重ね。そして、これから「乗れるようになりたい」と思っている誰かへの、静かなエールでもあります。これからも、安心・安全・挑戦・共創を大切に、ひとつひとつのレッスンを積み重ねていきます。2,001人目の「できた!」に出会える日を、楽しみにしています。
【補足】全く乗れない人が私たちと一緒に100分レッスンして「カーブや坂道をクリア」して「「長い距離(1㎞程度)を一人で走破」された方が数名います。すごすぎます(>_<)。私たちは彼らを敬意を表して「神7(かみせぶん)」と呼んでいます。
4.リピートする人々
~「また来たよ」から始まる、つながりと挑戦の物語~
「また来たよ」から始まる、未来へのペダル ~乗れても、乗れなくても。続ける気持ちに寄り添うアジア自転車教室の記録~

「また来ました」。その言葉に、私たちは何度も励まされてきました。アジア自転車教室では、これまでに2,000人以上の方とマンツーマンで向き合ってきました。
その中には、1回で乗れるようになった方もいれば、2回、3回、4回以上と通い続けてくださる方もいます。ここでは、そんな「続ける気持ち」に焦点を当てて、データを振り返ってみました。
- 1回目で乗れた方:1,302人
- 2回目で乗れた方:192人
- 3回目で乗れた方:60人
- 4回目以上で乗れた方:112人
そして、
- 1回目でまだ乗れなかった方:311人
- 2回目で乗れなかった方:16人
- 3回目で乗れなかった方:4人
-4回目以上でも乗れていない方:3人
1)1回目で乗れなかった方について見てみました
311人中、192人+16人 がリピートしてくれています。リピートされている方のうち、92.3%の方が2回目で乗れたという結果です。あきらめなければ必ず乗れるようになっていけるのではないかと思っています。
2)4回目以上でも乗れていない「3人」について
この「3人」という数字、実は同じひとりの男の子。ダウン症を持つ10代の学生さんで、月に1回、30分のレッスンを続けています。毎回まっすぐこちらを見て「先生、こんにちは」「また来たよ」と笑ってくれます。暑い時期や寒い時期を避けながらこれまで7回、参加してくれています。自転車も、ジュニア20インチ→ジュニア22インチ→ママチャリ22インチ、と大きくなっています。少しずつですが、彼と会話しながら少しずつ支える手を離していっています。まだ乗れるようにはなっていませんが、保護者の方も「乗れるようになってほしい」と願いながら、毎回一緒に頑張ってくださっています。
私たちは、「乗れるようになること」だけをゴールにはしていません。
「やってみたい」
「もう一度挑戦したい」
「前よりちょっと進めたかも」
そんな気持ちに寄り添い、安心・安全の中でひとり一人のペースを大切にしています。乗れても、乗れなくても、また来てくれること。それは、私たちにとって何よりの信頼であり、未来へ続く希望です。これからも、アジア自転車教室は「できた!」の瞬間だけでなく、「続けたい」の気持ちにも全力で応えていきます。
終わりに ~挑戦の輪は、これからも広がっていく~
みなさまからのご支援・ご鞭撻もございまして、ここまで共に歩んでくることができました。本当にありがとうございます。
2,000人の「はじめの一漕ぎ」に寄り添ってきたこの歩みは、まだ道の途中です。自転車に乗ることは、単なる技術の習得ではなく、「自分を信じる力」や「新しい世界への扉」を開く体験でもあります。これからも、年齢や性別、背景を問わず、誰もが安心して挑戦できる場を広げていきます。そして、地域の中で生まれる小さな成功体験を、社会全体の“共創の輪”へとつなげていくことを目指します。
次の一歩は、もっと多くの人へ。もっと深く、もっと広く。挑戦の輪は、止まりません。まだ乗れない皆さま」「挑戦したいと思っているけどまだどうしようかと悩んでいる皆さま」。私たちと一緒に進んでいきましょう。安心して暮らせる未来と社会を一緒に作っていきましょう。お待ちしています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
